その男は、ずっと外を見ていた。机にうつぶせになりながら、どこか上の空だった。
季節は巡り、また一年が経った。もう一年か、まだ一年か。
それは心が決めるんだよ、どこかの脳天気野郎に言われたことがある。
男にとっては、「やっと一年か」であった。
「アイラ?」
男を呼ぶ声がする。男、アイラは視線だけ向けた。
「何、ユカ」
「バイト…やろーよ?」
今更何を頑張る、愛羅は自嘲気味に笑った。
「店番くらいならいいよ」
「いつまでも、自分追い詰めないで」
由茄の眼差しは真剣だった。
目の前にいる人は変わることはないのか…。また、笑顔でいてくれることはないのか。
由茄は願った。
どうか、どうか愛羅を変えてくれる人がいますように…。
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