「いってらっしゃいませ。恋歌お嬢様」



「行ってきます!」



あたし、神谷恋歌は今日から憧れの女子高生になる。



高校生ってきっと、恋したりオシャレしたりそんな楽しい毎日…。



「恋歌、本当に車で送っていかなくていいのか?」



いくつものチェエーン店を持っている、大手企業社長のあたしの父は極度の心配性。



「大丈夫!普通の高校生は、歩いて登校なの!!」



小さいころからほしいものはすべて手に入った。



それはとっても嬉しいことだけど、やっぱりあたしはお金持ちとかそんなんじゃない、どこにでもいる普通の女の子になりたいんだ。



「でも、もし途中で…」



「お父様!!あたしは大丈夫だから!」



「でも――――――…っ!!」



あたしは父の言葉を最後まで聞かずに、今日から通う錦麗学園高校へと向かった。