『わかったよ じゃあ新曲発売まで

楽しみに待つことにするよ』



『うん そうしてね』



再びノートパソコンの画面を

開いた美羽は

カタカタと何かを始めて

しばらく黙っていたので

僕は帰ろうかと思った



『ねえ・・・先生・・・』



画面を見ながら

美羽が言う



『うん?』



『前にさあ あたしって

ちょっと男性恐怖症だった

って話したの覚えてる?』



もちろん忘れるわけがない



『うん 覚えてるよ』



『先生は違ったんだよね』



『えっ?』



『先生と会った一番最初の日

夜に診てもらった日のこと』



『うん・・・』



『先生と初めて会ったのに

先生は怖くなかったの

美羽 初対面の男の人は

少しは絶対怖いって思うのに・・・』



ノートパソコンに打ち込みを

続けながら美羽が話す



『ふうん なんでだろ・・・』



そんなこと聞かれても

わかるわけがない・・・



『美羽ね あのときね

運命かなって思っちゃったの』



美羽は静かにゆっくりと

運命という言葉を発音した