『で こうやって治療も続いていくと

美羽の体どうなっちゃうか

わかんないでしょ

だからね

美羽がまだちゃんと

歌えるうちに

もしかしたら最後になるかもしれない

曲を出しておきたいの』



『うーん・・・』



美羽の言いたいことは

よくわかった



アイドルとして

最後になるかもしれない

自分の生きた証を

残しておきたいと

そう思ったのだと

僕は解釈した



また考えこんでしまった僕を

美羽も黙って見つめていた

でもそんな簡単に

答えなんか出せなかった



『じゃあ ちょっと

院長先生とも相談するよ

新曲のことは

もう社長さんに言ったの?』



『ううん まだ

先生に一番最初に言いたかったの』



その言葉を聞いて

僕の胸が締めつけられた

美羽のそのとてもせつない

気持ちがひしひしと

伝わってきたからだ



『わかった じゃあ明日

朝できるだけ早い時間に

院長先生と相談して

結果を言いに来るね』



『わーい 先生ありがとう

大好きっ』



いくぶん痩せてきて

頬が前よりこけたけど

それでもやっぱり

この子はアイドルだなと

思わせる素敵な

笑顔だった