愛しのマイ☆ドクター

いつものように

いつもの椅子に腰掛けて

美羽を待った



でも今夜は何を話そうか

思い浮かばなかった



『ただいまっ』



『うん・・・』



『へへっ 久しぶりにコーラ買っちゃった

太るものはできるだけ摂らないようにしてるんだけど

たまにはいいよね』



美羽はいつもと変わらない

素敵な笑顔でそう言った



『うん・・・』



気の無い返事をするぼく・・・



『先生・・・どうかしたの?

なんか・・・元気ないけど・・・』



『そう? そんなことないよ』



とだけ言うので精一杯だった



『ふうん 先生疲れてるんじゃない?

ちょっと働きすぎなんじゃないの』



また僕をのぞきこんで

優しい言葉をかけてくれる美羽



でも彼女の魅力も

今夜の僕にはひびかなかった



いや 

その笑顔を曇らせる言葉を

遅かれ早かれ伝えなければならない

と思うと逆につらくなった



それでも僕は

必死で一言だけ返した



『そんなこと・・・ないよ』