愛しのマイ☆ドクター

『岡崎さん・・・ それって・・・』



美羽のことですか?

と聞こうとして

僕は思い当たることがあり

言いとどまった



岡崎さんは

たしかまだ小さい男の子の母親で

ダンナさんは早くに亡くなったと

聞いたことがある



もしかしてダンナさんは

入院患者さんの一人だったのだろうか・・・?



『岡崎さん・・・』



『はい・・・』



『ひとつだけ聞いてもいいですか?』



『どうぞ』



『亡くなったダンナさんを愛したこと後悔していますか?』



『いいえ』



岡崎さんはきっぱりと言い切った



『亮太が・・・息子の名前です

あの子が生まれる前に主人は亡くなりましたけど

あの人を愛したことを一瞬でも

後悔したことはありません』




『そうですか・・・』



僕は少しだけ考えたが

返答はすぐに決まった



『ご忠告ありがとうございます

でも 今の岡崎さんの

言葉を聞いたら逆効果ですよ』



と言って僕は笑った



『わたしったら・・・

先生まだお若いからついつい おばさんの

習性で余計なこと言ってしまいました

申し訳ありません』



と岡崎さんも微笑んだ



それは

とても素敵な笑顔だと

僕は思った