だけど

僕たちのそんな幻想は

一瞬で打ち崩されてしまう



そんな時がやってきたのだ



それはまるで

僕たちが心を通わせるときを

じっと待っていたかのように



あの指切りをした翌日に

突然にやってきた





その朝僕はいつものように

病棟を回る前に各患者のデータや

カルテを確認していた



もちろんその中には美羽のものもある



そして検査の結果に

目を奪われてしまうことになった



腎機能の数値が下がっている!



免疫の数値は横ばい状態だったのに

腎機能の数値だけが!!!



僕は黙り込んで

自分の目を疑った



見間違いであって欲しいと

神様に祈った



一度天を仰いでから

再び検査結果に視線を落とした



しかし数字に変化はなかった



とうとう

病状が進行しだしたのだ