美羽の意識がなくなってからも

もちろん僕は毎朝と毎晩

彼女の病室を訪れた



返事がなくっても僕は

朝はおはようと言い

夜はおやすみと声をかけ続けた



以前と変わらず行われている

血液検査の結果は

悪化の一途をたどっていて

彼女の体中につながれている

機器が示す数値も

改善されることはなかった






そうして一週間ほどが経って

習慣のように美羽の部屋に

立ち寄ったある夜

僕を呼ぶ声がした



『せ・・・ん・・・・せ・・・い』



『美羽っ?!』



『せ・・・ん・・・せ・・・い?』



僕は慌てて彼女のベッドに駈けよって

顔を近づけた



『美羽っ・・・ ここにいるよ』




『き・・・きょう・・・は・・・な・・ん・・にち?』



美羽の声は か細くて

耳を口元によせないと

聞き取れないくらい小さくなっていた



『2月・・・28日・・・だよ』




『そう・・・ せん・・・せい・・・ 美・・・羽の・・・』



『うん? 美羽の・・・なに?』



『ブ・・・ログ・・・見て・・・ね』



僕はずっと美羽のブログを見ていなかった