「あ、そうだ」



先生の名前の事を思い出した俺は、辞書で読み方を調べようと机の上を漁った。


散らばった冬休みのテキストやプリントを掻き分ければ、すっかり存在を忘れていたあの赤い本が顔を出す。



そういや、この本の主人公も21歳だったな・・・


バイト先で客に恋心を抱き始める主人公。


女子大生の恋なんて全く身近に感じられずに、たった30ページで断念してしまった本だったのに、今では最も俺の疑問に答えてくれそうな本になっている。


俺はその本を手に取り、そっと表紙を開いた。


21歳の女の人は、どんな恋をするんだろう。


これを読んだら、少しは先生の事が解るだろうか。



俺は再び、1ページ目から文字を追うー。