「悪い、な。

まー、あいつがなんかやらかしそうな気はしてたけど」


「笑い事じゃないですよ。

ようやくまとまりかけた頃に……」


言いながら顔を上げると

永瀬の口元は笑っているのに、目は

笑っていなかった。

つい言葉に詰まる。

まっすぐに俺を見てくる。


「先生?

先生も顔出して、声かけて下さいよ。

最近全然顔見せないじゃないですか」



「うーーん」



永瀬はあごに手を添えて

わざとらしく考えるように眉間にシワを作る。


「そんなに館山が俺を頼りにしてくれてたなんて、

いやぁ、嬉しいなぁ」


俺は肩を落とす。

こんなだから永瀬は年がよくわからないんだよな。