「友達も心配してた」
「…………」
「多分まだ心配してるから
早く行ってやれよ」
私は片岡を見つめた。
言葉が何もでない。
ありがとうも何も
声を出したら涙も
でそうだったから。
だけど声を出さなくても
涙は自然と出てきた。
止まらない涙
恐怖からの安心と
片岡の優しさと
とにかく辛かった。
これ以上守られたら
彼女持ちの君を
もっと必要としてしまうし
君がいなくなれば
こんな悲しい事はない。
好きと気づいてしまったから
君の優しさも全てが
私をどんどん辛くさせた。
君に彼女がいなければ
少しは楽だったと思う。
だって君の大切な人は
私でもないし他の誰でもない
たった一人の彼女だから。
