手を繋いで私の家に向かう。
「松本君のお母さん…とっても良い人だね」
「そうか?煩いだろ」
「ううん。とっても若くて優しくて…自慢のお母さんだね?」
「さぁ?よく分かんね。」
「あんなに歓迎されるなんて思わなかったよ…」
「ずっと女の子が欲しかったんだと。でも生まれたのは見事に男4人。息子に彼女が出来たら可愛がりたいって昔っから言ってた」
「そうだったんだ。松本君…兄弟居たんだね」
「兄貴2人に弟な。一番上は今、医者やってる。つってもまだ研修医だけど。…んで、次は帝大の法学部行ってる。弟は慶明の中等部で特進クラス」
「すごい…」
お医者さんなんてそう簡単になれるものじゃないし、帝大だって日本で一番難関の大学で、しかも法学部って…!弟さんも慶明かぁ…兄弟全員頭良いんだ…
「智花は?兄妹居る?」
「うん、私は3人兄妹で一番上がお姉ちゃん。銀行で働いててもうすぐ彼氏と結婚するんだって。あと、高卒で就職したお兄ちゃんが居るよ」
「智花は末っ子なんだ?」
「うん……変?」
「いや、妙にしっくりする。」
「…えぇ?」
そんな事を話していると、あっという間に家に着いてしまった。
「今日は…その、ありがと…」
「おぅ。じゃあ、また明日」
松本君はすぐに帰ろうとしないで、私が家に入るのを見届けてくれた。

