私は急遽、携帯電話で親友の英梨を旧館に呼び出した。 普段 英梨は図書館に足を運ぶ事は無い。 本に興味が無いみたいだし、本人曰く、自分が旧館に行くと私の迷惑になるからだと言う。 そんな親友の心遣いに私は胸がいっぱいになる。 「智花?!」 ハァ、ハァ、と息を荒くして現れた英梨。 きっと走って来てくれたんだ。 「英梨…。急に、ご、ゴメンッ。」 「いいよ!…そんな事より、どした?」 「あのね?好きな人、出来たの。…それで、どうしたらいいのか分からなくなっちゃって…」 .