「せんぱいっ」

振り返れば1年生の梨杏ちゃん。
犬みたいに俺になついて
どこへでもくっついてくる。


正直
嫌いじゃない
でも付き合えるか?
って言われたら
そんな想いじゃない。


「展示の、プリントっ…」

走ってきてくれたのか
切れた息。
震える膝。

苦しそうに胸をさする
指先が綺麗。
あ、ピアノ弾くんだっけ。この指。


「ありがとーなあっ」

「はいっ」

俺なんかのお礼に
そんな輝く笑顔は
眩しすぎる…。