CHERRY BLOSSOM



「…なんか雪って桜吹雪みたいじゃね?」

「……。」


雪の舞う遊歩道を、また手を繋いで二人で歩いていく。


「…春花?春花ちゃーん?………怒ってる?」


「……別に」


機嫌を伺うように、冬真はさっきから、あたしの体をペタペタと触ってくる。


「だってしょーがないじゃん。好きなんだもん。嬉しすぎて。あー、でもいくらなんでも初めてで……」


「だからっ…!怒ってないから!それ以上言わなくていいって!」


こっちは恥ずかしくてしかたないんだから!


ニシシ、と無邪気に笑う冬真に握りしめた拳を振りかざしたくなる。


そう。こいつは初めてのキスでいきなり…し、舌をいれてきて、それで……。だめだ。思い出すだけで恥ずかしい。


三年間一緒にいて、こんなやつとは知らなかった…。

「ねー、俺のこと好き?」

「す、好きだけど…」


なんだか早くも主導権を握られそうな予感。


「雪もいいけど、桜が咲いたらまた二人でここに見にこよーな!」


ピンときた。あの時言おうとした言葉はきっと。


「……う、うん!」


冬真の笑顔が眩しくて、つられてあたしも笑顔になって頷いた。