CHERRY BLOSSOM



お互いだんだんと声が大きくなってて、あたしもいつしか涙は止まっていて。


なんか、抱き合いながら、睨み合うってどうよ。


なんか全部がバカみたいに思えてきた。


「……お互いさまだね」


「……だな」


冬真は深い深いため息を吐いて、ゆっくりとあたしを離した。


そしてベルトに引っ掛けていたマフラーを取って、あたしに巻いてくれる。


「ほら」


「あ、ありがと…」



だけど、マフラーよりも冬真の体温のがあったかかった。


なんて、絶対言えない。



「と、冬真!」


だからせめての、精一杯。

「…て、手が寒いんだけど…?」


震えた手をわざとらしく差し出せば、冬真が驚いたように目を真ん丸に見開いていた。


「………っ」


「お前な」


ひかれた?やっぱり言わなきゃよかった…!


恥ずかしくなって出した手を戻しかければ強引に奪われ、また強く抱きしめられる。


「可愛いすぎだろ!」