CHERRY BLOSSOM



あたし、泣いてることにすら気付かなかった。でも、今はそんなことよりも。


冬真の腕が背中に回って、ぎゅっと強く抱きしめられる。体温が、心音が近くなる。


冬真もあたしと同じくらいにバクバクいってる。


それは、さっき走ってきたせい?それとも。


「バカ春花!俺が春休みの間、どんな気持ちでいたと思ってんだよ?」


背中に回された腕に力が込められて、さらにきつく抱きしめられる。


「冬真の気持ち…?」


「そうだよ。俺は、ずーっと春花が好きだったんだ!」


「え?」



……なんだそれ。意味分かんない。


「は、初耳なんですけど…」


「当たり前だ。今初めて言ったからな。つーか三年間も一緒にいたんだから気付け!」


「な、なにそれ!」


あたしは思わず顔を上げた。


それは、あたしがずっと思っていたこと。三年間、友達という関係を壊したくなくて。


でも、少しは気付いて欲しくて。


「俺、あんなに分かりやすかったのに」


「あたしの方が分かりやすかったわよ!てゆーか、なんであたしが告白した時にちゃんと言わないのよ!」

「お前が走って逃げたんだろ!?」