CHERRY BLOSSOM



心臓が、速くなって止まらない。バクバクいってる。

…嘘じゃない。冬真が目の前にいる。


「意味分かんねーし。気付いたら春花帰ってるし、マフラー落としてるし」


よく見たら冬真の腰のあたりに、あたしのマフラーがヒラヒラと風になびいていた。


多分、拾ってくれたんだと思うけど。走るのに邪魔でベルトに引っ掛けたんだろうなぁ。


「なんで先帰ってんの?俺、待ってるってメール送ったじゃん。見てないの?」

見たけど。


冬真はすごく不機嫌そうな顔で睨む。だって、あの状況でどうやって待てと。平常心なんか保てるわけないじゃん。


現にこうやって逃げてきたんだから。


「………だって、冬真。告白、されてたんでしょ…?」


緊張しすぎて言葉がぶつ切りになる。スムーズに言えない。また、泣きそうになる。


「なっ、なんでそれ…!」

ほら、やっぱり告白じゃん。


「別に、聞いただけ」


早めに言葉を切り上げて、あたしは顔ごと視線を逸らした。


だってほら、もう。涙がじわじわ、じわじわ。あと少しで涙腺が崩壊する。