「いや、ケンカっていうか…」
もっと気まずいよ、菜摘。
「てゆうか、春花今日めちゃくちゃ可愛くないっ!?髪も気合い入ってるし」
「あー…そっかな…?」
早く起きすぎて、冬真のこと考えたくなくて無心に手を動かしてたとは言えない。
「やっぱ冬真っちに告白すんの?」
「はっ!?」
菜摘の唐突な質問に、声が裏返ってしまう。しまった。放心状態すぎて菜摘に報告すんの一切忘れてた。
「菜摘、菜摘」
キラキラに目を輝かせてる菜摘を落ち着かせるために、顔を横に振って耳打ちをする。
――どさくさで告白、したけどダメだったんだ。
「えーーーー!?」
「お前ら、静かにせんかっ!!」
先生に怒鳴られて、菜摘は慌てて口を塞ぐ。菜摘、相変わらず声がでかい。
「ちょ、ちょっと待ってって!春花、それちゃんと冬真っちに返事聞いたの?」
えっと、そういえば……。
「聞いてない。言うだけ言って逃げてきたから」
「あんたねー」
「いや、だってまじ無理だから」
あいつがあたしのこと、なんとも思ってないのはよく分かったから。

