なに、卒業式が新しい始まりって?なに言ってんの?確かに冬真にとったらそうかもしんないけど、あたしにとったら反対だよ。
それとも、いつまでも過去に縋ってないでさっさと新しい道を歩けって?冬真とは別々の道を。
結局、冬真にとってあたしはそれだけの存在か。
――ついに坂を上りきってしまった。あたしの三年間の恋が、今日終わる。桜が咲く前に散ってしまう。
「うおっ、みんなもう並んでんじゃん!春花、早く走れ!」
だからあんたは何でそんな普通なのよ!もしかして、あたしの告白はなかったことにして気持ちよくはい、バイバイってこと?もしそうだったら……なんだよ、それ。
「春花、遅ーい!もう式始まっちゃうって!」
本当に学校に着いたら卒業生みんな体育館の前に並んでて、入場する直前だった。列の間から菜摘が手招きして叫んでた。
「ったく、お前らは二人揃って最後の最後まで……早く並べっ」
幸い、先生からは短い説教だけで済んだ。
「良かったー。心配してたんだよ、春花と冬真っちケンカしてたんじゃないかって」
急いで列に入って並ぶあたしに、菜摘が振り向いて笑った。

