告白なんかしたって全然すっきりしない。返事なんて分かりきってるし。
「……もうやだ。この坂」
また、あたしの足はこの坂で止まってしまう。最悪なことに向かい風までふいて、体ごと押し戻される感じ。
まるで今のあたしの気持ちそのままだ。卒業したくないからって、前に進むことを拒否してる。あたしは、どこまでも弱い。
「はーるかっ」
向かい風に負けそうになる体を、誰かが背中ごとバンッと前に押す。
誰か、なんて本当は分かりきってるけど。でも振り向くまでは信じられなくて。
「とうま……」
「お前、さすがに卒業式に遅刻はまずいだろ」
振り向けば、いつも通り変わらない様子で笑う冬真がいた。なんで、笑ってんの?なんで普通に接してくれんの?だって、あたし。
「冬真、あたしっ」
「はいはいはい。話は卒業式の後聞くから、今は足を動かして」
冬真に背中を押されて、一歩、また一歩と足を踏み出していく。
「せっかくの卒業式に、そんな暗い顔してんなよ」
「だって、」
「卒業式は新しい始まりだろ?暗い顔してると幸せ逃げるぞ」

