CHERRY BLOSSOM



結局、あたしはぐだぐだしながら髪を綺麗にまとめあげた。なんだかんだでコテとかで巻いちゃったりして。いつもより気合い入ってる感じに仕上がった。


何やってんだ…。こんなバッチリにしちゃって。卒業式とかそんな気乗りしないのに。だってなんか手を動かしてると何も考えなくていいからついつい余計なことまでしちゃうんだよな。

出掛ける前に一度、携帯を開いてみる。着信履歴も新着メールも何もなくて自然にため息が出た。


……もう、行こう。だらだらしてたせいで時間に余裕がなくなってきた。


マフラーをぐるぐるに巻いて、ホッカイロを制服のポケットに忍ばせて、あたしは家を出た。



「……さっぶ」


思わず声に出てしまうくらい、その日は寒かった。最近ちょっとはあったかくなってきたと思ってたのに、また寒くなんの。まじありえない。


卒業式、か。体育館、寒いだろうな。寒い寒いって言ってたら冬真に馬鹿にされちゃうかな。……なんて、さすがにもうないかな。こっちから避けちゃってんのに。


本当に、今日で終わっちゃうのかな。足が、重たいよ。思うように前に進めないよ。