呆然とする冬真を置いて走り出す。もうなんでもいいや。卒業しちゃったら、どうせ関係ない。
「春花!!」
逃げ出すのは二回目。馬鹿やろーはあたし。三年間ずっと好きだったのに、友達っていう居心地の良さに甘えてた。意気地無しの根性無し。なのに、こんなタイミングで告白なんて。さいあく。
でも良かった。もう春休みだ。卒業式まで冬真と会うことはない。卒業式が終わったら、もうずっと、会えない。
――それから冬真からの電話もメールも全部無視ってやった。「会いたい」とか「話したい」とか。今更なにを話せって言うんだ。泣き腫らしたせいで、目なんか開かないし、こんなヒドイ顔で外に出られるか。
それでも鳴り止まない携帯に、あたしは最後に「ごめん、話せない。今までありがとう」とだけ返信した。たくさんの意味を込めて。
すぐに返ってきた返事に恐る恐るボタンを押すと「卒業式の後、待ってる」の一文。

