CHERRY BLOSSOM



通り過ぎようとするあたしの肩を冬真が強く掴んだ。

「ちょっと待てよ!理由があんなら言えよ。このまま卒業なんて、気持ちわりいじゃん」


だから、なんであんたはいつもあたしの地雷を踏むの。卒業なんて言葉、今聞いたら…。


「おい!はる…か…」


絶対、泣く。


「卒業、卒業うっさいんだよ!あたしは、卒業なんてしたくないの!」


冬真の馬鹿やろー。泣いちゃっただろ。あたしはボロボロと涙を流しながら冬真の手を振り払った。当然、冬真はわけが分からないって顔してる。


「春花…?何で泣いてんの?」


もう嫌だ。この鈍感。何で三年間一緒にいて気付かないかな。


「うるっさい!馬鹿!冬真が好き、だから…っ。だから卒業なんてしたくないのに、あんたが卒業、卒業ってうるさいから…!」

「あ、えっ…?す、き…?は、…?」

「あー、うるさいうるさいっ!」


もう無理、なにどさくさに紛れて告白してんだ。あたしは。もう卒業したら会えないのに。無理なのに。ああでも、むしろいいのかもしれない。これでおしまいだ。


「もういいから!もう終わりにするから」