後ろであたしの名前を叫ぶ冬真の声を無視してあたしは走った。
なんだよ。三年間同じクラスで、ずっと隣にいたのに。テストのときはいっつも二人で競い合って。昼休みはお弁当のおかずとか取り合いもしたし。
体育祭だって二人で二人三脚のアンカーやって盛り上げたじゃん。文化祭だってじゃんけん負けて二人で小道具頑張ったし。
ずっと冬真の近くにいたと思ってたのはあたしだけだったんだ。
だって冬真は三年間近くで笑ってたあたしより、まだ出会ってもない子のことを考えてる。
馬っ鹿みたい。あんまり近くにいたもんだから、もしかしたら冬真もあたしのことちょっとは…なんて考えてた自分が恥ずかしい。なんて自惚れていたんだろう。
これから、冬真と体育祭も文化祭も別だなんて。冬真の近くであたしのしらない他の子が笑ってるなんて、堪えられない。
あいつ、どうせすぐ彼女とかできちゃうんだろうな。調子よくて馬鹿だけど、そういうところがひそかに女の子にモテてたの知ってる。
でも、冬真とあたしはみんなが認めるくらい仲良くて。だからみんな一歩ひいてたのかも。結局、うかれてたのあたしだけだったけど。

