もうワタナベさんとワタベくんは集合していて、私が最後だった。
「じゃあ全員揃ったところで本日、初仕事をしましょうか」
「早速初仕事?!」
「早いうちから仕事に慣れといた方がいいからさ。二番スタジオに行って」
「え、何やってるんですか?」
「んー、次のヒロが出るドラマ」
“ヒロ”って言う時、前田先輩のメガネの向こう側の目が変わった。何かを企んでいるような、そんな目つきで私を見る。
「ヒロって玉浦ヒロですよね?!」
「あれー、サキコちゃんって玉浦ヒロ好きなの?」
「カッコイイですよね。ファンなんです、ウチ」
ワタナベさんが食いついてくれたおかげで、私は前田先輩の目から逃げる事ができた。

