部屋の隅で膝を抱え、
あたしは震えていた。
怖い、怖いオオカミが
あたしの宝物を奪いに来る。
そしてあたしも食べられてしまうんだろう。
そこにはもう何も残らない。
完成間近のパズルをバラバラに壊されたかのような喪失感。
自分の弱さに今頃気付く。
昨日の前向きな気分はどこ吹く風。
あたしはすっかり意気消沈してしまっている。
「盛者必衰の理をあわはす、か…」
中学校の頃覚えた源氏物語の一節を思い出す。
今のあたしにぴったりだ。
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