どうも世の中はあたしの葛藤も苦悩も認めてはくれないらしい。 不機嫌面を引っ込めて、あたしは道化のようにニコリと笑った。 「よろしくね」 それが世渡りに必要なのだと身をもって教えてくれたのはあの人。 (今は亡き)ってところか。 あの人の呪縛からも逃げられるかもしれないと思って、わざわざこんな遠くまで来たんだから。 もう一度悪魔と天使を盗み見る。 ……使えそうにないなぁ。 溜息を呑みこみつつ、恨めしいほど青く晴れ渡った空を睨みつけた。