しばらく無言の時が続く。



一体どこに向かってるのかさえわからない。




「…何なんだよ、お前」



「は?」



「突然泣いたと思ったら、今度は勝手に治りやがって。

で、大丈夫だと思って送りだしたらぶっ倒れるし」



「悪いねぇ。つーか、あんたには関係ない」



「そりゃあ、直接的にはねぇけどさ…

ほっとけねぇんだよ、お前」



あたしはおぶられたまま黒崎の声に耳を傾ける。



「情緒不安定すぎだろ。目が離せないって言うかさ…。

ほっといたらどっかで野垂れ死んでそう」



「ほっとけ」



黒崎の低い声が、背中を伝って体に染み込む。