あたしの好きな少女漫画。
もう何度も、何度も読んだ。
主人公の女の子も
その友達や家族も
かっこいい王子様も
登場するキャラクターみんなを好きになった。
雰囲気や表紙や台詞まわしも、センスや考えも、作者さんも、全部を好きになった。
ストーリーもイラストも
「最初で最後」
そのもの全てを好きになったのは初めてだった。
特別可愛くもないし、スタイルも普通、センスも並だし、テストの点数はいつも平均点。
だけど
大好きなその漫画の、主人公の女の子は、あたしと違っていつも前向きで。
性格だけはずば抜けて真っすぐで、すごくいい。
そんな彼女は、イケメンだけど冷めた性格っていう、彼女とは真逆の王子様に恋に落ちてしまう。
外見はよくても中身は最悪。
しかもその王子様には、すごく想う相手がいる。
その女の子の性格を主人公は知らないけれど、外見がお姫様みたいに可愛いことはだけは知っていて。
それでも、わかっていても
ある日、あることを境に、押さえ込んでた「好き」がよく振った炭酸飲料みたいに溢れ出てしまう。
―――それで告うのだ。
勢いよく、理性を飛ばして
「好きだよ」って
自分の手が届くことはないって痛いくらい知っているのに。


