「どういう意――」
「あ、や、なんでもない!今の忘れて」
被さった、一息に繋がれた続きに、珍しいと思った。
(焦ってる?)
よく見ると、いつもナチュラルな感じに上手くセットされてる前髪が、走った後みたいに、斜めに分けてある部分が、微妙に崩れていた。
(かわいい…)
「誰か待ってるの?」
もしそうだったら、あたしは少し嫉妬してしまうかもしれない。
なんて、醜い自分の部分に触れて嫌悪しつつあたしが問うと、相良くんは、さっきあたしがしたようにそれに質問で返した。
「岡本さんは?」
「あたしは……」
「あたしは、相良くんを待ってたよ」


