『どうしたの』って、言う。
二度目だ。
他に、今このシチュエーションに合う言葉は、きっとそれよりいくつもあるはずなのに。
…ううん、ないかも。
これが合ってるのかも。
「………」
驚いて言葉が出ない。
だって、来たんだもの。
夢見たドラマが、本当に起きたんだもの。
だけどこの沈黙は、あたしの言葉を待ってできているもので。何か言わなきゃ、気まずい。
「さ……相良くんは?」
「………」
今度は、相良くんが黙った。
俯いていて表情はわからない。
蛍光灯のおかげで、クリーム色の世界の中にお互いは居られた。
外は真っ暗。
だけどその冷たい外気は、色を変えてここにも浸蝕している。
同じように寒い。
「…ここにいたらいいな、って思った」
「……え?」
驚いて、何の話かさっぱりで、目を見開くあたし。
だけど一番ハッとした顔をしたのは、相良くんの方だった。


