「……ねぇ、岡本さん」




あたしは、起きるに起きれず、寝たフリを続行する。


(どうしよう…!まずった…)



(…そういえば、相良くんは皆みたいに関西弁じゃない…)



あたしと、同じ。

東京、かな?















考えてみたらあたしは、

相良くんのことを
何も知らない。


肝心なことも

小さなことも


誕生日、星座、血液型、趣味、特技、好きなもの、嫌いなもの、よく聴く音楽……、

下の、名前。











保健室の空調はよくきいていて暖かい。

布団も、少し固いけど暖かい。



こたつやらホットカーペットやらお風呂の中やら、

暖かいものに滅法弱いあたしはコトン、と音がするように、気付かないうちに眠りに落ちていた。






――相良くんの言葉を放って。