「寝てんだから静かにしろよ、起こしちゃうじゃん」
(ごめんなさい、相良くん…。あたし、もう起きてます…)
はぁ、と呆れた声色で少し強めに相良くんが言うと、紗由の笑い声は一層大きくなった。
「あんたが『さん』!!!!
ていうか『起こしちゃう』とかまさか気遣ってんの!?」
「………」
「……あやや?まさか、真妃琉にフォーリンラブ?
この前も『借りる』とかってさぁ~~…」
(フォッ……!!??)
ドキッとして固まってしまう。だって、この紗由の言葉への相良くんの返しに、きっとあたしは傷つく。
いくら相良くんが優しくて、優しい返しをしたとしても、意味は結局同じ「違う」だから。
図々しいあたしは期待して、当たり前とも言えるその返しに傷ついてしまうだろうから。
「…その何でも恋愛に繋がる単細胞な脳みそどうにかしたら」
「冷たっ、だってあんたがあんたじゃないみたいなこと言うから……」


