わざわざ、寝坊助な真田が、あの真田が朝イチ登校してまで

『見たいがために』

と言った。彼女の目的がすでに果たされたものならば。



(ま、まず…)



『王子様』はすでに隣のクラスにいらっしゃっている。

つまり必然的に、恐らく彼の意志に関係なく、真田の馬鹿でかい声で吐かれたこっぱずかしい話は、彼の耳に届いたことだろう。


……そして真田がすでに彼を見に行っていたとしたならば。

色々とベタな彼女のことだから、「バレバレ」な態度で挑んだことは目に見えている。



「さ、さなだぁ…!」



あたしは真田の首根っこを引っつかんで、それでもキャーキャー言ってるバカをズルズルと教室の隅の隅までひっぱった。




「なによぅ、照れんなよぅ」




し め こ ろ し た い 。



もしあたしのこの恋が悲惨な事態になったとしたらそれは全てコイツのせいにしてもいいですか。ねぇ神様いいですか。




「余計なことしないでよ!!
絶対相良くんに怪しまれる!!自然に話せなくなる!!

意識されちゃう!!!
てかあたしがしちゃう!!」



真田の胸倉をつかんでグワングワンと彼女の頭を揺らしても、あたしの気は収まらない。

真田はそんなあたしにヘラヘラと「ヘーキだって」とぬかしている。



(んのやろ……)