「ちょっちょっちょ!!」


「キキーッ」とブレーキ音でも聞こえそうなくらい、思いきり走ってきた真田があたしの前で急停止した。

前のめりになって、コケそうだ。(コケたら面白いのに)



「おはよ、真田。早いね」

「えぇ、えぇ、そうですとも!早起きしましたとも!
やっと現れたんですもの!」

「……どうした?頭…」


「あんたの王子様が!」




もはやあたしの言葉なんか聞こえてないようで、真田は言い切った。

(王子様……)



「あんたの王子様が見たいがために朝イチ登校て!褒めて!
誰かあたしを褒めてっ!!」


「……真田、落ち着いて」


「これが落ち着いてられますか!!ちょっと、いやかなりドリーマーなあんたに、やっとこさ王子様ができたっちゅーに!」



「王子様って……」




ハッ



こんな廊下の、しかもうちのクラスまでもうちょいってとこでぎゃあぎゃあ騒いで、しかも内容が『王子様』だなんて恥ずかしすぎる!!


それに多分、真田のいうあたしの『王子様』はトナリのクラス。