「…もう暗いね」
物越し柔らかに立ち上がった相良くんをじっと見上げる。
そんなあたしを見て差し出された片手を、戸惑いながら握ってあたしも立ち上がった。
「ごめんね、おくる」
全く気がつかないでいたわけじゃないけれど、さすが冬。
まだそんなに遅い時間じゃないと思うけど、外はもう暗かった。
「いいよ、うち遠いし」
「だめだよ、危ないから」
「平気、雨止んだから」
わけがわからない、と相良くんはまた笑う。
(笑い上戸なの?)
どうやら相良くんがおくってくれると言ったのに、雨は関係なかったらしい。
(じゃあ何……?)
「……迷惑?」
「ぜんぜん!」
思わず即答してしまった自分に呆れた。
ここは普通、相良くんに迷惑をかけないように気を使って、例え自分が彼ともっといたいからって、甘えるところじゃない!


