人通りが少ないのに、埃っぽくないのが不思議だった。
空気の通りがいいのだろうか?
「あ、忘れてた」
彼は、3組の相良くん。
サッカー部所属でエース。
教えてもらった、彼の新しい情報は、新鮮な響きであたしに焼き付いた。
(もうやだ)
赤くなってないかな…?
にやける頬は、俯けば髪に隠れるだろう。
だけど、赤く染まれば、なかなか元には戻らないんだから。
「きらい」は「すき」と言ってるようなもんだと思う。
つまり、あたしの「きらい」は「すき」と同じ意味なのだ。
…だけど、そうだとしても、
相良くんをきらいだなんて口走ることは無いだろう。
こんなに「すき」で溢れてるんだもん。もう好きとしか言えない。好きしか伝えたくない。
……たくさん、すき。
相良くんの肌はすごく綺麗。
真っ白で、赤ちゃんみたいにきめが細かい。
(生れつきかな…)
女子の、けっこう肌の手入れを気にしてるあたしからしても羨ましいくらいだ。
高い鼻に、長いまつげに、柔らかそうな頬、それに細身。
だけどそれらは、決して女々しいわけじゃない。
こんなに素敵なのに、どうして相良くんは騒がれたり、噂になったりしないんだろう?


