「借してってアンタ…。自分のもんみたいに」



「ごめん、…じゃあね」










………あたしが固まっていると腕を引かれた。

易しく。

あたしの意志も混じって、それは強くも緩くも感じられた。



あたしの腕をすっぽり包めるくらい大きいのに白くて細い指。綺麗な手。




「すきだな…」




やっぱり。

強く惹かれて、触れ合っている肌から、腕の脈から、ドクドクと弾けちゃいそうなくらいに暴れている心臓がバレそうで怖い。


好きすぎて、怖いよ。























この嘆きは、きっとざわめきに消されて、彼の耳に届くことはなかっただろう。





―――あたしが、


わざと

きこえるか、きこえないかで
告(い)ったのは。



きこえていて欲しい
と思ったから。


きこえて欲しくない
と願ったから。






だから―――