それから。


六時間目は寝ずに、ノートを熱心にとるフリをして、あたしは悶々と考えに耽った。





『彼と会えない理由。』



議題を決めてひとり、スラスラとノートに箇条書で自分の気持ちを整理していた。


そしたら



「傘を返してもらえれば、また会えると思った」



「貸したのはビニール傘」



「返さなくてもいいのでは?
(彼側の気持ち)」



「でも名前を聞かれた」



「見込みはある?
(あたし側の気持ち)」





………という結論に至った。


(でも、雨でも降らない限り、あんな大きい傘を学校に持ってくるのは恥ずかしいんじゃ…)


だからなのか?



(それなら置き傘貸せばよかった……、というか、そもそも、雨の日だって二本も傘持ってたら恥ずかしいんじゃ………)





…………どうしようもない。