* * *
「~っ、もう!ありえん!
うちが受験落ちたらなぁ
あんたのせいやから!
あんたが心配で心配で
今日の夢あんたのやったわ
このボケナスッ!」
その可愛い声と、いまいち怒りを感じさせない言い方じゃあ、恐くありませんよーだ。
ペラペラ喋る真田に向けることなく、あたしは黒板に書かれた時間割に目を向ける。
時間割のまわりだけ、掃除された時と変わらない深緑。
もう五時間目。
昼休み明けの教室内は、心無しか他の時間より空気が違う。
黒板ももう、白いモヤがかかったようにくすんでいて、遠目には綺麗な時間割のまわりだけが浮いて見える。
(夢、か)
………昨日のあの出来事も。
今日の今頃にはもう、熱を帯びなくなって、現実味が無い。
昨日の出来事があったのは確かなのに、昨日もいつも通り何事もなかったかのように今日が進んだからだと思う。