「だって今日、彼氏さんと一緒に帰る日じゃんかぁ」


ぶっすりした顔であたしが
ヒガミ丸だしで真田に訴えると真田は一瞬目を丸くしたあと、ぷくくと笑い出した。



「なに?ひがみ?」


「ちゃうっ!真田の彼氏さん、絶対傘持ってると思ったから、あんたらに、お熱~く相合い傘させてやろうと心優しく企んだだけやし!」



ぷいっ、と首を背ければ、真田のニヤニヤは一層ひどくなった。




「へー、へー、いいですよーだあんたから傘借りなくたって。彼氏と一緒に帰るもーんだ」



ニヤついた顔のままのそれに、あたしのあつくなった顔がよりあつくなる前に、愛ある鉄拳を食らわした。























―――――――結局、






あたしは、置き傘も、傘も、

虚しく一人、二つ持って帰る。