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「雨だ…」

「やぁば、傘無い」



教室の窓から、
シトシトと言わず
ざぁざぁ、と降る雨。

雨、に留まらず暴風雨だと
感じさせるくらい勢いがある。



「天気予報みてくんの
 忘れたんやったぁ…」



唇を尖らした真田は、机の横のフックから、今まさに机の上に乱雑に置いたあたしの鞄を
じぃっと見つめる。



「置き傘、ある系?」


(なに系?ソレ)



……このツッコミは心に
そっとしまいこんでおこう。

ここでノったら最後、真田の
上手い口車にのせられるのが
オチだ。



「なによぅ、“ド”ケチ~」



あたしがシカトしたことでか、なぜか置き傘があることがバレているようで。

“ド”を強調させられたその
台詞が聞き捨てならなかった。



(あたしかて……!)



ただのケチじゃない!
これはヒガミやねん!