「わあっ……想像以上にきれいです。まるで、自然の舞踏会会場って感じです。」
濃い藍色の空に浮かぶ無数の星と満月を見上げた結祢から、感嘆の声が漏れる。
ティディに誘われてきた場所は、旅館の外の浜辺。
満天の星空が、波打つ海に光の粒を落としてきらめかせていた。
「ふふっ、そんなに感動してもらえるなら誘った甲斐があったわ。」
ティディは、満月と結祢を見比べながら微笑む。
「はい!誘って下さりありがとうございます、ティディさん!」
「ふふっ、どういたしまして。あたしね……満月を見上げて感動する人間を何人も見てきたけど、自然の舞踏会会場なんて表現は初めてよ。結祢ったら、詩人ね。」


