「クレイー、誰彼ケンカ売ったらダメだって、いつも言ってるじゃんか。」
「ケンカ売ったりしてねえよ、ディザス。この女がくだらねえこと言いやがるから、注意してやっただけだろ。」
クレイというらしい銀髪青年の言い種に、結祢は少なからずムッとしたようだ。
「“この女”って何ですか!私には、綿葉結祢っていう名前があるんです!」
怖がっていたことさえ忘れ、立ち上がって言い返す。
「ああ?言い直さなくても、おまえの名前ぐらい知ってるぜ、結祢。」
「うん、俺も知ってるよ、結祢ちゃん?」
今更と言わんばかりの口調で返す青年二人に、結祢は面食らったように仰け反った。
「えっ……ええっ!?なんで知ってるんですか!私、まだ名乗ってないのに……。」
「なんでって、ホームステイ先の人間の名前を把握しておくのは基本じゃん?」
ディザスというらしい金髪青年の応えに、難しい名前でもねえからなとクレイが付け加える。


