その間にも、結祢を急かしているようにコンコンと戸を叩く音が聞こえてくる。
(こ、怖いですけど……ここは勇気を出して正体を確かめるべきですよね?頑張って下さい、私!)
自分で自分を励ましつつ、結祢はそろりそろりと入り口の扉に歩み寄る。
腰は完全に引けており、足や手もふるふると震えていた。
しかし、ありったけの勇気を出して
(えいっ!)
心の中で声を上げつつ、扉を開ける。
すると、そこに居たのは……
「今晩は、結祢。夜の散歩に誘いに来たわ。」
腰までの長さがあるウェーブがかった紫色の長い髪と茶色い瞳を持ち、ただでさえ色気たっぷりなのに藍色の浴衣で更に色気を放つ人物。
「ティ……ティディさ……んっ!?」
「しっ!声、大きすぎよ……。いとこ君達が起きちゃうわ。」
大声で名を呼ぼうとした結祢の口を右手で覆って、ティディは左手の人差し指を口に当ててたしなめた。


