「やめなさいよ、男が二人寄ってたかって……みっともない。その子、嫌がっているじゃないの。」
庇うようにして結祢の前に一人の人物が現れた。
短いウェーブがかった紫色の髪を結い上げ、茶色い瞳を持つその人は二十代後半ほどに見える。
首の後ろと左目横にあるほくろが、色気を醸し出していた。
(きれいな人ですね……。)
結祢は、恍惚の表情で紫髪の人物の後ろ姿を見つめる。
「寄ってたかって……って、俺は別に結祢ちゃんを困らせるつもりじゃなかったんだって!」
「言い訳するなんて男らしくないわよ。……行きましょ、結祢。」
紫髪の人物はディザスとクレイを一瞥してから、結祢を連れて奥の岩の後ろへ移動した。
「なんだ、あいつ……?いけ好かねえ野郎だな。」
クレイはチッと舌打ちしながら、ディザスを連れて反対側の岩奥へ泳いで行った。


