「なんで……なんで、誰も気づかないんですか!?こんなに目立つ光景なのに……。」
「……簡単なこと。空間を転移させたから。お姉さんとトゥルケ達の姿は、誰にも見えない。」
悲嘆する結祢に、トゥルケが澄まし顔で説明する。
「ねえ、トゥルケ?お姉さんを離してあげよーよ。今度はお姉さんが鬼になる番だし、掴んでたら動けないから。」
「えっ……?ち、ちょっと待って下さい!この高さから離す気ですか!?」
結祢の質問を無視して、アバリィはトゥルケに目配せをする。
トゥルケはこくりと頷くと、
「……ルノ、離してあげて。」
腕部分に桃色のリボンが結ばれた魔手に命令する。
応じるように、ルノと呼ばれた魔手がパッと手を離した。


