「ど、どうやら、ディザスは何も覚えとらんようじゃ。そなたが戦った翌日に、ディザスは目覚めたのじゃが、その時からこの調子でのう。ち、ちなみに、そなたは三ヶ月間眠っていたぞい。」
「何も覚えてねえ……か。」
ぽつりと呟くクレイに、話聞けよとディザスが抗議する。
「ディザス。クレイはケガ人ですのよ。話は後日にいたしなさい。」
「だけどさ、母さん……」
「“だけど”もへったくれもありませんわ!兄ならば、弟を労る気持ちを覚えなさい。」
「……わ、わかったよ、母さん。」
ロールに厳しい口調でたしなめられ、ディザスはしゅんとしたように目を伏せた。
「……ククッ。」
「何笑ってんだよ、クレイー。笑う場面じゃないじゃんか!」
「ああ?おまえの花が咲いているようなな平和な思考回路が面白くてな。」
「花なんか咲いてないって!けど……なんでだろう?クレイが笑ってるところを見たら、俺まで笑いが込み上げてきたんだけど。」


