心の中で呟くと、結祢は音を立てないように細心の注意を払って、ソファーから起き上がる。
そうして、窓の近くにそろりそろりと歩いていくと
「あれっ……?」
結祢は何かに気づき、立ち止まって目を見開いた。
窓の近くには既に先客が居て、ぼんやりと曇り空を眺めていたのだ。
「ディザス君、起きていたのですか?」
「……結祢ちゃんか。」
先客として居座っていたディザスは、結祢の声かけに反応して振り返った。
その顔にはいつもの笑顔は無く、どこか淋しげである。
「結祢ちゃんこそ……起きてたんだね。俺と同じで眠れないの?」
「は、はい。妙に心がもやもやして、眠気が来ないんです……。」
「……そっか。じゃあ、少し話でもする……?横に座っていいよ。」


